三条はとても格好いいと思う。俺の憧れだった。優しいし、頭いいし、スポーツできるし、みんなから好かれているし、俺とは正反対!
本当、今でも信じられないことに、そんな三条と俺は付き合っている。
はっきり言って俺、まだ不安だし自分に自信がない。
どうして、ぱっとしない背景みたいな俺と、スポットライトを独り占めしているような三条が付き合っているのだろう。全くもって、バランスが取れてない。
でも、三条は俺のこと好きだって言ってくれたんだ。俺も三条のこと好きだったから、勇気を出して付き合うことにした。

けど、はっきりって障害だらけだよ。
三条はモテるから。たくさん嫉妬されるし、嫌がらせもあるし…


「浜松?」

どうしたんだ? と急に俺の、顔の前に、とても綺麗な三条の顔が、現れた。

俺は突然のことに驚いて、足を滑らせた。
最悪だ。学校の廊下でこんな恥ずかしい。てか、やばい、このままじゃあ、床にたたきつけられる。

なんて、出だしから格好悪いんだろう…俺。


「!」

瞳はぎゅっと、閉じた。
床にたたきつけられる覚悟を決めたのに、ふわっと、俺の身体は宙に浮いたまま、床にたたきつけられることはなかった。いや、宙に浮いているんじゃない。三条が、俺のこと抱き抱えてくれているんだ!

「大丈夫か?」

「…あ、ああ、大丈夫だ…ありがとう」

「ならいいんだ」

よかったよ、とか言いながら満面の笑みで三条は俺を床に下ろした。

……どうしよう、周りの視線が痛い。






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