「好きだ」と言ってみた。
そもそも俺がどうしてそんな恥ずかしいことをしてやらないといけないんだって気持ちもあるが、言ってみた。
すると、折原の驚く顔が、笑えた。
でも折原はすぐに怒りだすと乱暴に俺を抱きしめる。
意味がわからない。

「痛いってば!」

たとえ、ここが二人っきりの俺の部屋であったとしても、俺はいつもみたいにおとなしく抱かれる気はしなかった。
だって、俺、俺は、な、折原…

「よせ…って!」

反射的にとでも言った方が正しいくらいの勢いで俺は折原を突き飛ばした。

今まで、どんな時だって、一度たりとも、俺の力じゃびくともしなかった折原が、簡単に俺から突き飛ばされる。なんてこった。

「……すまん」

なんか悪い気がして俺は尻もちをついた折原に謝る。
すると折原は、柄にもなく落ち込んだ顔をして、呟く。

「謝るなら、始めっからしなければいいだろう」

めんどくさそうに瞳を伏せてそう言う。
怒っているようで怒っていない口調だった。
だけど、俺に背中を向けると折原は立ち上がり、首を振る。

「帰る」と。






[*前] | [次#]
目次に戻る→

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -