運命
体育の授業で二人一組になれと先生は言った。
いつもは四人組の俺のグループの一人が今日は風邪で休んでいるため、俺は一人溢れてしまった。
「まだ、ペアいない人、俺と組んでぇ!」
俺は大きな声で手を振った。
だが、誰からも反応が返ってこない。
どうやら、みんな誰かと組んで、溢れていないのだろう。
「…そっか」
ならしかたないと俺は一人で準備運動を始めた。
「村井、俺、も、一人だ」
「…佐中?」
「はぁ、なんで疑問形なわけ!」
「あっそか、お前はいつも溢れてたよな。忘れてた」
「……それはひどい」
佐中が俺の傍にいて、緊張して、つい、誤魔化そうと変な言い方をしてしまった。
佐中はそんな俺の言葉に傷ついたような顔をした。
「………」
どうしよう、完全に、俺は余計なことを言ってしまった。
佐中、辛そうな顔しているし。
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