視線
=村井side=
気のせいなのか。
俺が意識しているせいなのか。
(はぁ…)
実を言うと、あの時、不注意とはいえ、関係のない佐中を殴ってしまったこと、俺はまだ気にしている。
なのにあいつときたら、ケロンとしてやがる。
これじゃ、俺はどうやって償えばいいのかわからない。
いや、あいつが気にしていないのなら、償う必要はないのか?
わからない。
わからない。
そもそもなんで佐中が俺のこと見ているだなんて思ったんだろう。
(聞いてみれば、俺の勘違いだって言われたし)
調子狂うな。
ふとしたはずみに、俺の視界の端っこで佐中はとても恋しそうな顔をしている。
それがどうしてか気になるなんて。
「はぁ…」
俺は弁当を食べる手をとめた。
お昼御飯を一緒に食べていた友人たちは心配そうにまた楽しそうに俺を見つめ、声をそろえた。
「「「お前、恋の病か?」」」
「ま、ま…まさか」
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