10
「怒ってない?」
「不思議とな」
「そっか」
ホッとしたように笑う堂島を見ていたら、俺もどこかホッとした。
今晩は二人でご飯を作ろうって言って、食材を冷蔵庫からあさった。
結局サラダとチャーハンになったけど。
*****
「ごうちそうさまでした」
夜ごはんを食べ終えると、堂島に最近感じていた不安とか葛藤を話してみた。
堂島はただ真剣に俺の話しを聞いてくれた。
「頑張っているんだね」
なんて、優しい声で堂島に言われると、まだまだだと思った。
俺はまだまだだと。
「ううん。もっと明日から頑張る!」
話しを聞いてくれてありがとうとは言えなかった。
でも、俺が吹っ切れたことが嬉しそうに堂島は笑う。
また堂島に惚れてしまったような気がした。
[*前] | [次#]
目次に戻る→