２０
どうしたらいいのか、わからなくなった。
俺のことなんかで、必死になる、七里がわからなかった。
でも、嬉しいと思った。
おかしいな。
七里、辛そうな顔しているのに。
俺、それが嬉しいなんて。
俺のことそんなにも考えてくれるのかって、
嬉しいなんて、不謹慎なのに。
「あの日、やってみてよかった…」
「え？」
「コンビニ強盗、阻止してよかった。七里にあえてよかった。やってみてよかった。変わってみたいって願えてよかった。可能性を信じてよかった。こわかったけど、やってみてよかった。」
俺は、笑いながら、七里の顔を見つめた。
せっかくの男前が、涙でぐちゃぐちゃだ。
でも、きっと、俺の方が、涙でぐちゃぐちゃな顔してるだろうな。
[＊前] | [次＃]
目次に戻る→