10
そこでたまたま出食わしたコンビニ強盗に俺は慌ててナイフを突き出した。
何の罪もない、店員を傷つけようなんて、最低だと思った。
たぶん、店員と重ねてしまったんだろうな。
かつての自分を。
「強盗さん、店員さんを刺したら、俺は貴方を刺します!」
怖くなかったと言ったら大嘘だ。
でも、ほっておけなかった。
怖がる店員さんの顔を見て、俺は必死に強気を出す。
「とりあえず、ナイフ置いて下さい」
俺は無駄な争いは好まないと伝えた。
それは本音。
だけど、強盗さんは俺の言葉に答えてくれなかった。
俺は焦った。
「三分間、待ってやる!」
早くしろって俺は言う。
好戦的なのは嫌いだけど。
俺が今しないといけないのは、店員さんの無事を確保することだって、思ったから。
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