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「あの、お名前聞いてもいいですか?」
俺は静かなコンビニに声を響かせた。
事実、コンビニ強盗があってから、客足がちっともないんだ。
このコンビニ。
「……俺の?」
「え?」
俺は彼がせっかく返事をしてくれたのに、ちゃんと聞き取れなくて、もう一度としぐさで耳を傾けた。
すると、彼は嬉しそうな顔をして、
「俺の名前?」
と言った。
このタイミングで、一体、俺が誰の名前を聞いたって言うのだろう。
でも説明不足だった俺が悪いんだろうな。
「そうです。俺は、七里っていいます。貴方のお名前は?」
「俺は、後地」
「下は?」
「え、下は……理季、です」
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