「……っ」

俺があまりにも勢いよく指をさしてしまったからだろうか。
通りすがりさんはびくっと後ずさった。
俺は悪いことをしたなって思ったものの、気がつけば、身を乗り出して、彼に話しかけている。

なんで、俺、こんなに、喜んでいるのだろう。

「もう会えないかなって思っていたんです。あ、俺はあの強盗事件の時、たまたまちょっとだけ店の中に入った学生で、貴方が強盗さんにナイフを突き付けているところを見て、すっごいなって感動して。あ、あの、上手く言えませんが、これからよろしくお願いいたしますね。俺、ここでちょっとの間だけですが、店員やってますし!」

「………あ、はい」

彼は戸惑ったように、頷いてくれた。
いい人だ。
普通、こんなこと急に言われても、不信感しか湧かないんじゃないだろうか。
なんて、心の何処かで俺は冷めたこと考えていた。
でも高鳴る気持ちがおさまることはなくて、彼の手を思いっきりつかんだ。

どうしてだろう?


ただ、もう会えないだろうって思っていた人に会えてうれしかったのか?






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