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俺は馬鹿じゃないのかと何度も言う。
すると奈倉はそれだけ好きなんですよと笑う。
「ね、先生。そんなに俺から逃げないで。本当に俺のこと好きなら俺のためにこっちに来てください。一緒に幸せになりましょう」
「奈倉…お前は…」
「ネガティブ発言は募集を終了しました♪」
「奈倉は、いいのか?」
「いいも何も俺は真鍋勉さんが大好きです」
「俺も…っ」
俺は奈倉のもとに歩み出して、走り出した。
だってさ、奈倉は言ったんだ。
俺が奈倉のためを思うなら、逃げるんじゃなくて一緒にいてほしいと。
だからさ、俺はもうやめたんだ。逃げるの。
好きじゃないと嘘をつくの。
だって、奈倉の幸せが俺だって言ってくれるなら、俺は、ちゃんとこたえてやりたい。
いいか、でも、しかたなしだからな!
照れ隠しでまたきついことを言って、でもそれさえも奈倉は愛おしそうに見つめてくれて、そっと俺のこと抱きしめてくれた。
「大丈夫です。二人ならどんな未来だって、幸せですよ♪」
どうしてそんなことが言えるんだか。
俺がそう思っていると奈倉は平然と言った。
「だって、俺たち愛し合ってますからね」
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