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=真鍋side=

奈倉のことが気になった。
奈倉が淡々と毎日を生きていると思ったから、何かしてやりたいと思った。はじめはそれだけのはずだった。
はずだったのに、日を重ねることに、表情が柔らかくなる奈倉に俺は恋をした。

でも、俺は、心の何処かで安堵していたんだ。
奈倉が振り向くことなんてないのだと。
だったら自分が想っている分には何も悪いことじゃないと。
俺は安堵していたんだ。

いつか簡単に消えていくものだって。

自然消滅を祈った。
今は無理でも奈倉が卒業したらそれまでだから、きっと俺は簡単に忘れてまた新しい恋をしたらいんだと思った。

好きになることに理由なんてない、そんなこと俺が一番知っている。

奈倉は俺の大切な生徒であり、男だ。
俺はそうやって自分と奈倉は分かり合えないと隔たりを作った。
なのに奈倉はそれをとびこえて俺に近づいてくる。
それが怖いんだ。

俺は奈倉を俺の人生に巻き込むのが怖いんだ。
奈倉には奈倉の将来があるはずなんだ。
突き放しただろ、何度も。
でも俺は馬鹿だからついさ、甘えてしまっていたんだろう。
それも怖いんだ。怖いんだ。みんな。みんな。
だからさ、そろそろキッパリ俺たちは別々の未来を見るべきだ。

「お前が忘れられたくなくても、忘れたいんだよ、俺は」






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