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「泣いてなんかいねぇよ!」

叫ぶように先生は言った。でも、先生は泣いていた。

「何さ、なんでさ、なんで、お前はそう平然としてんだよ。な、おかしいとか思わないのかよ。馬鹿じゃないの。もっと自分の将来とか考えたらどうなんだよ、な、な!」

「先生は、将来のこと考えているんですか?」

「俺か、俺はな、俺は、俺には夢があるんだ。理想の先生をやって、いつか可愛い子と結婚して子どもつくって、毎日楽しく暮らすんだよ」

「今もそう思ってますか?」

「……わからない」

先生は力なく呟くと続けた。

「わからない」

「何がです?」

「どうしてお前は俺が、好きだとか、言うんだよ…わからない」

「俺にもわからないです。あとどうして先生は俺から逃げるのですか? 俺気がついたんですよ。俺、貴方が……」

「悪いかよ、俺がお前を好きで悪いかよ! なんでお前は人が忘れようとしているのに邪魔をするんだよ。なんで、忘れさせてくれなんだ」

「忘れてほしくないからですよ」






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