「隔たりって何ですか?」

「俺は先生だ、奈倉は生徒だ」

「好きにならない理由になりますか、それ?」

「………そもそも俺は男だ、わかれ」

「見たらわかりますかね。じゃあ、先生の男の証を見せてください」

俺から一歩下がると奈倉はしゃがみこんで、笑った。
子どものように笑った。
でも、可愛くなんてないんだからな。

「俺、ちっさくても大きくても、あれでも気にしませんし。ほら、ズバッと下着も全て脱いで見せて下さいよ。じゃないと俺、わからないです先生」

「ふざけるな」

「ふざけてなんていないですよ。どうしてそんなこと言うのですか? 俺はただ貴方のこと愛しているだけですよ。あとは先生が俺のことを愛してくれたら、恋人になれんですよ。だからほら、先生」

切実な顔をして奈倉は言う。
俺はあまりにも奈倉が真顔で対処に困る。
真剣だと思うとどう扱っていいのかわからないんだ。

俺は、誰かを気付けることなく生きていきたいと思っている。
常にそう思っている。

だから、奈倉の好意は大変困っている。






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