「え、と、なんて?」
「だから、俺は紀田のこと好きだよ」
真剣な目をした中沢に俺は固まった。
「紀田も俺のことを見ている中の一人だったけど、気がついたら、俺も紀田のこと見るようになっていたんだ。おかしいけど、紀田のこと気になったし、紀田のことよく考えていた」
「中沢、その言い方は…少しどうかと思う」
まるで告白みたいじゃないか。ほら、ライクじゃなくてラブのほう。
「少しどうかしていてもかなりどうかしていても、俺が紀田を好きになったことには変わらない」
ガタンと椅子から立ち上がって彼…中沢は叫んだ。俺はただ圧倒された。
「……変わらないけど、この関係のままでもいいから、また気が向いたら、机でやりとりしてほしいな」
それだけ言うと中沢は教室の外に走り出そうとする。俺は一瞬そんな彼を見送りそうになったが、必死に引きとめた。ここでここで勇気を出さなければ俺はずっと変われないままだ。
「あの、中沢。これは俺自身まだ認め切れていなかったことなんだけど、俺は、中沢が寂しい顔をしていると悲しいし、笑顔にしてやりたいと思っていた。それがどうしてだと思う。そういうことなんだ!」
「……紀田、ちゃんと言葉で伝えてほしいな」
「こ、友達に、なってほしいです」
恋人と言いかけて、友達と言ってしまった。すると彼は微笑ましそうに表情を穏やかにした。
「じゃあ、恋人になってくれるんだね!」
「え、ああ、うん」
「あ、でも俺、こんなんだし、紀田に迷惑かけるかもしれ…」
「そんなの、わかっている。わかっているけど、言ったんだ。みんな、受けとめるくらいの覚悟はあるよ?」






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