「ああ、なんか、近づくな危険って感じするだろ!」
まるで子どものように彼は笑う。
「俺さ実は非力なんだよね。だから、ほら、こうやって色をつけると、強そうに見える。はったりだけど、金髪効果は絶大だよ…ってごめん。話しすぎた。つい、紀田と話せるのが嬉しくて…」
「そう、そうなんだ」
俺はあえて言わなかった。彼は金髪にしても儚く見えるっていうか、弱そうだ。弱いっていうか、優しすぎるのだと思う。きっと彼は喧嘩をしても、相手を傷つけることなんてできないのだろうから。
なんて、ちょっと観察してただけの俺が言うのも変な話だよな。
「と、いうか、俺の名前なんで知っているんだ?」
「えっと、その、気になっていたからって言ったら、気持ち悪い?」
「気持ち悪いなんてそんなことないけど」
「じゃあ、紀田のこと気になっていたから、知っていたんだ」
「なんで…?」
「紀田は、俺とすれ違っても、何も言わないから」
そうだ、入学式の日、彼の後ろ姿だけ見た人は、ひそひそと何やら話すが、彼の顔を見ると声の色を変えて、女子は頬を染めはしゃぎ、男子は奥歯をかみしめ嫌味を口にする。だけど、俺は、いつも言葉を失ってしまう。
「いつも気がつかないふりしているんだけどね、ちゃんとみんな聞こえているの。結構、傷つくこと多いかな。だから、人とすれ違うのは怖いし、関わりたくないと思ってもいた。ま、そのために髪の毛染めたんだけど、あまり効果なかったな。高校では何かが変われる気がしたのに、何もかわらず中学や小学校の時と同じ。でも、そんな中、紀田は、俺に対して何も言わないし求めない。それが、変な話、嬉しかったんだ。それ…ああ、ごめん、ついまた俺ばかり話をしてしまって」
「そんなことないよ。でも俺には難しくてよくわらない」
ただなんとなくはわかるけども。






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