サンタさん
サンタを信じていた。
俺の家にサンタはこなかったけど、サンタは何処かにいるのだと、俺は信じていた。
「変な話だよな。自分の家にサンタはこないのに、信じていたとかさ」
でもその意味を今、わかったような気がした。
高志の横で朝、目が覚めた12月25日。
俺の枕元にはプレゼントが置いてあった。
たぶん、いや、絶対に高志からのものだ。
なのに、高志は「俺は知らないもん」とか言う。
「でも、信じていてよかったかもしれない」
ずっと子ども心に待っていたサンタさん。
俺のところにはきてくれなかったサンタさん。
「高志、サンタさんにお礼を言いたいんだけどどうしたらいいと思う?」
「……喜べば、それでいいと思う」
顔を赤くして、そっぽをむいた高志に俺はほほ笑む。
俺のもとにもサンタさんやってきたよ。
とっても優しくて素敵なサンタさん。
[*前] | [次#]
目次に戻る→