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「ありがとう、陽介」
「え、なんで?」
俺はぶっきらぼうに言い捨てただけじゃん。
「心配してくれたんだろ。めちゃくちゃ嬉しい!」
「な、誰が心配なんてしたって言うんだよ、そんなの当たり前だろ!」
「ううん。特別なんだ。俺には特別」
「……どういう意味?」
「さぁね。一言で言うと好きだからかな、陽介のこと」
さらりと言われて、顔が赤くなるのが自分でもわかった。
でも、どうしてこんな俺のこと好きなの?
高志は本当に俺でよかったの?
俺には、もったないような気がするんだ。
高志ほどの人なら、もっと他に…他にさ…
「さ、さ、ケーキを作ろう!」
エプロンまで用意してくれていた高志を前にして、俺は聞くことにした。
今まで聞けずにいたこと。
聞いてしまったら全て終わりそうで怖かったこと。
「あのさ、高志は、俺と付き合って楽しい?」
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