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別に今まで交際をしたことがなかったわけじゃない。
告白されたら、断る理由もない気がして、付き合ってしまっていた。
ただ、告白されて振るという行為がとてもめんどうなものだったからだ。
それに俺は見た目はいいらしいが、中身はそうじゃない。
長く付き合った女の子でも、1カ月くらいで別れた。
いつまでこんなことを俺は続けているんだろうと、少し思っていた秋のこと、幼馴染で友達の高志に好きだって告白された。
告白されたら、断る理由もない気がして、付き合うことになった。
とにかく付き合えば、友達に戻りたいって高志は思うようになってくれるんじゃないかって俺が想像したからだ。
…なのに、クリスマスを迎えようとしている時期になっても高志は俺の恋人だった。
今日だって一緒に近くのショッピングセンターの中を歩いている。
「あ、そうそう、陽介、クリスマスさ、俺の家で一緒にケーキ作らないか?」
「え、ああ」
別に予定はないからと承諾したものの、俺はこの関係に不思議を覚えた。
どうしてまだ俺の隣に高志は恋人としているのだろう。
高志は俺と一緒にいて楽しいのだろうか?
「やった! じゃあ、ケーキは生クリームにするか? それともチョコか?」
とっても嬉しそうに高志は聞く。
俺は戸惑ってきた。
別にこの関係が嫌なわけじゃない。
たまに女の子扱いみたいなことしてくるのが恥ずかしいけど、慣れたし。
何より高志は我儘も無茶も言わないし、俺に「好き?」とか聞かないし。
大切にしてくれるし、俺のこと優先にしてくれるし。
でもだからこそ、思うんだ。
どうして俺なんだろう。
俺は、高志に、何もしてあげられていないのに。
ただその時の流れのままに付き合いだしてしまっただけなのに。
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