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「違う…、そうじゃなくて、いい気分転換になったよ、裕也」
焦っている俺なんてみっともなくて俺はさわやかにいつも通りを装った。
「俺でも大会のことばかり気にしていたからさ、息抜きとかさせてくれていいバランスで頑張れたしな」
本当は不安だらけだった。
本当はすごく感謝している。
でも、本音を言うのは怖い。
おかしいだろう。
だって俺は性格が悪いんだから。
「おかげで緊張せずに、本来の実力が出せたよ、裕也」
「嘘だっ」
「え?」
「あんなにも押しつぶされそうに一心不乱に、努力してたじゃないか!」
「裕也?」
「哲也のこと、たとえ、哲也でも馬鹿にしたらダメだ。そんなの俺が許さない」
「……どうしたんだよ、急に?」
何を真剣になっているのだろうと俺は不安に思った。
「どうしたも何も、俺は哲也が好きだもん。好きな人のこと悪く言う人は嫌い。だから、哲也が哲也のこと悪く言うのも痛めつけるのも、見ていて俺は辛い。だって、どっちも哲也なのに…」
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