思い描いたような理想が続く世界を俺は自分で作り上げてきたつもりだ。
そこに数ミリのズレなんていらないんだ。
その方が安心するから。

イレギュラーは態様に困る。

俺が、運動が好きなのは、ただそこには明確なルールが設けられているから…
それだけだ。

俺は運動神経が抜群なんだ。

だから、誰にも負けやしない。
また一番を勝ち取って、さわやかに笑って、高らかに『優勝できたのはみんなのおかげ』だとかスピーチをする。
そんでみんなは『俺なら当然』だと言いながら拍手をするだろう。


負けられない。
大会を重ねるごとに積み上がるこのプレッシャー。

平気だと嘘をついて誤魔化して…
ずっとそうしていくんだと俺自身思っていた。

だが、さっきから俺の幼馴染のチャラ男くんは「心配なんだ」なんて言う。
意味がわからない。
俺がそう言って追い払おうとしたら「哲也の努力を俺は知っているよ」なんて囁いた。

どうしてだろうか、嬉しかった。

誰かに自分の気持ちがばれるなんて嫌なのに。
でも認めてもらえたようで。






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