意外に可愛い




=丹羽side=


「俺、丹羽くんが好きだよ」

俺の腕の中から、俺を見上げて、部長はそんなことを言われました。
正直、これは、やばい。
意外に可愛かったです。
俺は、驚くくらいに、部長を自分から引き離しました。
ダメなんです。
今、俺、ダメなんです。

「すみません。俺、ちょっと、妖精界に用事が」

「え、うん」

しょうぼりした部長に俺は言葉もかけず、勢いよくオフィスを走り抜けました。
そのままトイレに入り、部長にぶつけそうになった欲望を、どこかへ流すことに専念しました。

嬉しかったんです。

でも、複雑でした。
元の世界の部長は俺のこと、部下としてしか見てくれていないのに、こっちではそんな風に見てくれたなんて。だけど、違うんです。
俺はここに生きていません。

俺が好きになったのは元いた世界のあなたで、ここにいるあなたが愛しく感じられるのは元いた世界のあなたがいてのことなのです。
ややこしいですが、きっとそうに違いありません。
ですが、部長って、男の人を好きになることってあるんですね。
なんだか少し、救われた気がします。
でも、ソーセージには、あの反り返ったのには特に反応しなかったのに。
不思議だな、と俺は思いました。
そして、一つの結論にたどり着きました。

ただ単に、あなたは純粋なんです。


好きに、男も女もないって感じなんでしょう。
それから、ただ純粋に好きになるんでしょう。

もしかしたら、ただ、手をつなぐだけで、お互いがそこにいるだけで、いいってくらいに純粋な恋をしているのかもしれません。

同じ男だとは思えないくらい、綺麗な人だと思いました。
同時に、すごく、快楽に落としてしまいたいと考えてしまうのは、俺の悪い癖なのかもしれません。

ああ、トイレでもう一回、想像で出せそうでした。





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