頑張っているね。とか、今日もお疲れ様。とか、辛くない? とか。
俺はあなたにたくさん言葉をかけました。
まるで、元の世界の部長が俺にしてくれたように、俺も、部長もことを大切に扱いました。

とある日、あなたは、先輩に仕事を押し付けられて、一人残業していました。

「残業、手伝いますっ!」

困った顔をしていたあなたに俺は言いました。
一人よりも二人のほうがいいと思ったんです。
ですが、俺、なんででしょうか。
この世界のものは何も触ることができませんでした。
資料を持つことも何もできずにいました。

「ありがとう。でも、もう、いいよ」

あなたはかすれた笑い声でいいました。
一緒でした。
いつも、何かに悲しんだり、諦めたりした時に、あなたはそうやって笑われます。
俺は途端に切なくなり、何もできないくせして、

「手伝います」

と、言い張ることしかできませんでした。





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