新しい関係





  第三話 「接近」


=小池side=


高校を卒業してすぐに就職した。
俺は働くっていうことがよくわからなかったけど、働きだしたらなんとか、なるものなんだろう、とか、考えている。

もちろん、不安もあった。
だけど、こうして生きていくしかないんだなって、どこかで、理解していた俺は、就職を本当の意味で拒めなかった。

辛いことも日常で、いつか、こんな日々にもなれるかもって、思っていたのに、やっぱり辛いものは辛いわけで。俺は相当、まいってしまっていた。

先輩のミスをなすりつけられたのも、そんな時で、それがすべての始まりだった気がする。

誰も、俺の言うことを信じてくれなくて、俺は途方にくれた。
悔しかったけど、心のどこかで、もう、これ以上言っても無駄だと分かってしまった。
だから、俺はもう、先輩のミスを自分のものだと認めて謝った。最初からそうやって謝ればいいのに、と先輩は陰で言っていたのを俺は聞き逃さなかった。
理不尽だ。
そう思いながらも、今、退職するような度胸は俺にはなくて、泣く泣く、この会社に勤め続けることになった。
地獄のようだった。



そんなこともあり、精神的に俺は落ち込んでいて、初めて、ミスをした。
俺はすぐに謝った。
だけど、謝ればすむようなことじゃない。と怒られて、どうしたらいいのか、わからなくなった。

その次の日から、俺には、俺のことを一から、教えなおしてくださる上司がついて、俺は常に監視されているようになった。

入社して、二年目のことだった。
そもそも、右も左もわからないままに、責任だけを押し付けられた俺はどうしていいのか、わからなかったのだが、この仕打ちにも慣れ始めていた秋のことだった。


俺は一生忘れないような出会いをすることになる。






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