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「柏さん…まだまだ頑張れるよね?」
「腰痛いし、しんどいんだけどな」
俺は病気のことを聞かれているのかと思って、曖昧に濁そうとした。
だって恥ずかしいだろ。真剣になるのって。
「……うん」
「ま、真島、どうしたの?」
「だって、真島さんがもうしんどいって言ったぁ」
もう、いい歳をしたおじさんは俺のベットをばこぼこと叩いた。
「しんどいけどな。俺まだ生きてもっと生きて笑って過ごしたいから、まだ死ねないな」
「本当?」
「ああ、うん」
「照れて可愛いです」
「いや、照れてないし!」
「おじいちゃん、あまり興奮しちゃうと血圧あがるよ〜」
「真島こそ、もう中年オヤジなんだから、落着きをもったほうがいいよ」
「俺はいつでも現役バリバリだ」
「……なのに、俺に元気なくてごめんな」
「いえ、そんな、こうして側にいてくださることが嬉しいです。何よりも」
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