戸惑いました
=柏side=
「俺は…俺はただ…」
あの日、辛くて死んでしまおうとした。
でも、君は俺のために命を張って助けてくれた。
俺の命は大切なものだとその時知った。
比べ物にならないけど、大切な君の命で俺は生きているんだと思った。
「忘れたくなくて」
決して許されないことだと思っていた。
取り返しのつかないことだから、こそ、許されないと思っていた。
俺は君への償いのように毎日生きて…
なのに、君は俺に対して何も怒ってなかった。
それどころか幸せになれって言うんだ。
なんだろうな。
誰かじゃなくて、ただ単に俺が自分を許せなかっただけだったのかもしれない。
戸惑った。
だって俺は君への償いのために生きているようだったのに。
これからどうしていけばいいのかわからなくて…
[*前] | [次#]
目次に戻る→