「過去だとしても、忘れたくないし忘れていいものじゃないだろ」


柏さんは声を絞るようにして言われました。


俺は「いいえ」と首を横に振りました。


俺だってはじめはそう思っていたんです。

過去は過去だとしても、それがあったことにはかわらないし、
犯した罪も消えてなくなるものではないと。

許されるものではないと。


俺の大好きだった孝吉兄さん。

血はつながっていなかったけど、俺のこと大切にしてくれました。

彼が俺の支えだったのです。



ある日、それは一人の恋人のせいで奪われてしまいましたが。


「柏さんは…ずっとそうやって生きていくんですか?」


「……え?」






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テーマ「人外ファンタジー」
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