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「健一、俺さどうしてここに来たと思う?」
「……聞きたくないかな」
俺は寂しそうな…
けども決意を決めたような、
かたい瞳の君から目をそらした。
わかっていた。
君は俺との約束を叶えるためでも、
俺を一緒に連れて行ってくれるわけでも、
俺のそばにいてくれるわけでもない。
そう、君がここにきたのは…
「そんなもういい年になったんだから、子どもみたいなこと言うなよ」
「だって…」
君は、俺に、人生を楽しめって言うんだろう。
君は、俺に、幸せになれっていうんだろ、踏み出せって。
そんな言葉聞きたくもない。
「おかしいじゃん!」
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