勝気はあります!
結局お昼休みの天丼屋では新藤に上手く話せなかった。
俺はただ俺も市原の幸せを見ていたいから、俺たちは仲間だなって言いたかっただけなのにな。
あの、たらしは本当に困ったもんだ。
どおりで馬鹿みたいに女にもてるんだ。
俺だって少しだけときめいてしまった。
迂闊だ、迂闊。
気をつけないと。
ああいう、気もないのに、天然に人をたらしこむ馬鹿野郎は相手にしても、
傷つくのは決まって勘違いをした方なんだ。
「植木先生―」
てかさ、俺がなんであんなのにときめくわけ。
意味わかんねぇー
「植木先生?」
だいたいさ、あんなののために今悩んでいること自体が馬鹿らしいんだって。
そうだ、そうそう、授業もろくに手につかないなんて最低だぞ、俺、ガンバレ。
「……あ」
俺はハッとした。
目の前には授業を受ける姿勢の生徒たち。
「今、授業中だったっけ?」
「はい…」
「…わり、ちょっと先生も思春期だったのかなー。じゃあ、続きするぞ!」
俺は黒板をたたいた。
はて、俺はどこまで何をみんなに教えただろうか?
新藤のせいだ、みんな!
あとで文句言ってやる!
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