もしかしたら帰宅部っていい部活じゃ




=市原side=


久しぶりにお父さんが家に帰ってきた。
ずっと人のことをほったらかしにしていたにも関わらず、やっぱり平然と帰ってくる。

腹が立つ。

どうしてこんなにも僕だけが困惑しないといけないのか。


「幹也」

名前を呼ばれても、なんて返事をしたらいいのか、わからない。

僕はただお父さんの前で立ち止まった。


「もしかしたら帰宅部っていい部活じゃ」

ないのか、とお父さんは言った。


僕は呆気にとられた。


「入ってみてもいいと思う」

「…入るも何も、そんなものない」

「天野が言っていた。目に見えるものが全てじゃないと」

「天野くんが?」

「そう」

「うん…」

「…………」

「…………」

「………幹也、俺、話がしたけど、何て話せばいいのか、わからない」

「え?」

「上手く話せないけど、話がしたい」

「僕も…」


ちゃんと話が、したい。
ちゃんと、仲直りが、したい。

でも、どうしたらいいのか、わからない。



天野くんは言ってくれた。
だったら、その気持ちをありのままに伝えたら、いいんじゃないかと。


その通りだった。



「あのね……






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