じーん、とくる素敵な話




許されることではないとわかっていた。
それでも俺は幹也と羽場に謝った。
こんなにも素直な自分を出したのは何年ぶりになるんだろうか。

羽場は終わったことに縛られるのは嫌いです、と笑った。
幹也はただ首を横に振って……



*****


「よかったです」

「は?」

帰宅部のメンバーが帰った相談室で一人、物思いにふけっていたら、
天野がにこやかに俺の方に歩いてきた。

「帰ったんじゃなかったのか?」

「帰ったんですけどね、また、ここにきたくなって、帰ってきました」

「ここに…?」

俺は疑問に思った。
こんな何もないただの相談室に何の魅力があって帰ってくると言うのだろう。

「帰ってくる意味なんて何もないだろう」

「校長先生。俺は…」

「なんだ?」

「日課なんです。みんなが帰ったここで一人で考えているんです。どういった活動内容にしようかとか、いろいろと。あ、秘密ですよ」

「馬鹿か…俺が秘密を守るとでも思っているのか?」

屈託のない瞳に俺は冷たい言葉をかける。
なのに、天野は「信じてます」と俺を見つめた。






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