自分達の手で作るからな




=大樹side=


天野なんか嫌いだと思ったのは、あの日。
入学式の日。
俺のことを無視して先を歩く幹也が、遠くて、俺がその距離にどうしたらいいのか悩んでいた時、お前は道に迷って幹也に助けてもらっていた。
それが気に食わなかった。
俺は幹也に教えたはずだ。
中学生から守られてもいないことだが…
自分のプラスになることだけを、自分のことだけを考えて生きなさいと。
なのに、どうして、天野みたいなどうでもいい奴に声をかけるんだ。
そう、思って、俺は、天野のことが嫌いになった。
別れるときに幹也の肩を抱いて写真なんか撮りやがって。
いらいらしていた。

*****

その後、天野と幹也が同じクラスだということを俺は知った。
怖くて仕方なかった。
天野が高校をやめたらいいと思った。
そうしたら、幹也は…俺のところに帰ってきてくれるんじゃないだろうか。
そう思って。
羽場に、天野のへの嫌がらせをさせた。
いつも心の底では罪悪感で一杯だった。
強がって演じていても、俺は羽場の気持ちがよくわかった。
俺が羽場と同じ年の頃なら、俺もその場面に出くわしたら、猫を助けようと、しただろう。

俺はかつて、俺が嫌った大人に、なりさがっていた。
それが嬉しいと嘘をついた。






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