「はい、団長、詰め箱なんですか?」

宝箱じゃなく?
と、真城くんは真剣に質問した。

天野くんは「ああ」を頷いて、儚げに瞳を閉じた。

そして、開くと、
相談室にいる一人ひとりを見つめながら、愛おしそうにほほ笑む。

「宝箱は、もとから、どこかにあるものなんだ。それを地図か何かで探しに行く、だいたいのシナリオはそんな感じだろ、いつも。ニアンスにしても、俺は違うと思う。それに、やっぱり宝箱には、もとから、中になにか入っていて、それは決められたものだと思うんだ。だから、俺は宝箱ではなくて、詰め箱という表現にしたんだ」


楽しそうに真剣に天野くんは語る。


「帰宅部っていうのは、もともと、学校が終わったら、俺たちには自由があると思うんだ。そこから、つけた名前なんだ。俺は、いつも思っていた。自由を楽しむことを知ってほしいって。俺たちの放課後は自由なんだから、自分で好きなことをしてほしいって。それでたくさんの思い出を作って、それを、自分で詰めて、思い出にしてほしい。探しに行くんじゃなくて、待っているんじゃなくて、自分で作る。だから、俺は、ちょっと響きはよくないけど、詰め箱だと思うんだ。その方が、夢があると思わないか?」

思うよな?
天野くんはそう言って、
僕の方を見つめた。



「市原も、そう思ってくれるよな…?」







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