いいか、帰宅部ってのは青春の詰め箱だ
=市原side=
体育館に走っていった天野くんが心配だった。
だから、僕は植木先生にとめられても、天野くんの後を追った。
そして僕が体育館についたころには、真城くんと天野くんの二人だけだった。
よかった…
お父さんは関わってきてなくて…
そう思うと、ほっとして。
なのに、天野くんは嬉しそうに、こっちを向いて走ってくる。
僕はそれが嬉しかった。
嬉しかった。
だけど、天野くんは途中で立ち止まると、悲しそうに笑った。
僕…何かしてしまったかな…?
「天野くん?」
心配になって呼び掛けた。
天野くんはニッと笑うと手招きしてくれた。
「市原こっちこっち」
「う、うん」
泣き出しそうな声で頷くと僕は駆けだした。
この中途半端な距離が、
苦手だったんだ。
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