当たり前だろ!?
「ごめん、天野」
俺は二人っきりになった体育館で天野に謝った。
つい、カッとして、校長を怒らせてしまった。
「校長との話し合いの邪魔して、俺」
「いやいや、加勢だよ。ありがとう、真城がそんなにも情熱のある人だと俺、思ってなかったよ。真城っていい奴だったんだなー」
「え?」
「だから、ありがとうって」
な、と言いながら、天野はほほ笑んだ。
それがどこか悲しそうな笑みで、
俺は、泣き出したいような衝動に駆られた。
「天野のくせに、しんみりとするな!」
「そんな、真城、怒らないでくれよ」
「怒ってなんかない!」
泣くつもりもないのに、涙がぼろぼろとこぼれる。
それに気付かれたくない俺は、必死にうつむいて、手を振ってごまかす。
「真城、俺、ずっと勘違いしていたのかも。真城って俺のこと嫌っているのかなって思ってたんだけど、そうじゃなかったんだよな。嬉しかった。俺なんかの、俺なんかの夢のために怒ってくれたの、校長に。不謹慎だけど、とっても、嬉しかった。今も、嬉しい」
「当たり前だろ!?」
あんな、あんなにも、天野は必死に帰宅部に打ち込んでいたのに、
それを知らずにただ何も知らずに否定するあの姿勢。
そりゃあ、怒るだろ!
「当たり前だろ!?」
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