何とでも言え!
=大樹side=
俺は間違っていない。
正しいことを言っているはずだ、正しいことをしているはずだ。
なのに、何が足りないんだろうか…?
どうして幹也はこんな馬鹿のこと、気にかけているんだろう。
「まさか、本当にくるとは思わなかった…」
「…来ますよ、あんな切ない字、書かれたら」
「は?」
「俺、少しだけわかるんです、字を見ると」
「どういうことがわかるんだ、くだらない」
「見透かされて、怖いと思って、否定して、自分を守る弱さとかです」
悲しそうな顔をして、天野は俺を見つめた。
ダメだ。
今さら取り繕っても、こいつには通じないのか?
「親子そろって似てるんですね」
「どこが?」
幹也と俺は似ていない。
俺は幹也に傷つかずに生きていく方法を教えたのに、
幹也はそれを否定した。
「俺と幹也は似てない」
「…似てますよ、強がって、意地を張るところがとても、似てます」
「………」
失礼なことを言う奴だと思った。
だが、俺は…
「天野、お前は、どうしてそんなことが言えるんだ?」
「どうしてでしょうか。言いたいから言うのかもしれないです」
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