「よし、俺、見てくる!」

「え?」

「天野、もっと考えてからにしよう」

急に駆けだそうとした天野くんを植木先生はとめてくれた。
僕はほっとした。

「そうだよ、天野くん、何があるかもわからないんだから」

「でも、市原、俺は、確かめたいことができた」

「確かめたいこと…?」

「これが校長の字だとしたら、俺は、勘違いをしていたんだと思う」

「え?」

「筆跡鑑定。筆跡から、わかる心理学とか、かじっていたこともあるんだ、俺」

当たっているかはわからないけどね…と天野くんは苦笑した。


「こんな字を書く人に、冷たくなれる人はいないと思うから」

「それって」

「無理しているってこと」

切なそうな顔をして、天野くんは僕の頭をなでる。


「ごめん、俺、ほっとけないよ…?」






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