さぁ、行くんだ!
=市原side=
相談室に、天野くんと植木先生、僕と三人でホワイトボードを見つめていた。
「これは…」
「挑戦状か?」
「そうかも、しれないですね」
ほとんど毎日、帰宅部のことで使っている相談室のホワイトボードには『体育館で待つ』と書いてあった。
誰が誰を待っているのかはわからない。
いたずらかもしれない。
だけど、どうしてだろうか、僕たちには、それがお父さんのからの挑戦状に見えた。
幼さが残った、繊細な字。
「いや、けど、あの校長がこんな字を書くなんて思えない」
「これ、お父さんの字に似ていると、思うけど…」
「俺はこの字が誰のものだとしても、校長が絡んでいると思う」
「やっぱりそうですよね、俺もそう思っていたんですよ、植木先生。絶対にこれは校長からの挑戦状に違いないです。ですが、体育館とか、どうしてそんな広い所に呼ぶんですかね。俺だったら、体育館裏にします。それに今は運動部が体育館つかっているはずですよ、バスケとかバトミとかバレーとか」
「だよな、天野。俺もそう思っていたんだ」
僕たちは首を傾げた。
お手上げ。
仮説は仮説でしかないことに気が付いていたんだ。
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