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天野くんも乃木くんも、にこにこと僕たちの反応を待っていた。
「「どっちがおいしい?」」
ここだけの話、僕は、ラッキーバーガーセットが好き。
一番、食堂で大好きなメニュー。
だけど…
「どっちもおいしいよ」
「「市原、どっちかって言えばどっち?」」
「…ピラフかな」
「よっしゃ! 市原は俺のピラフ党だ!」
「天野、市原は、ピラフ党じゃない。市原は、ラッキーバーガーとかいうのが好きなんだよ、本当は」
乃木くんはいつも食べてるよなって笑った。
「でも、僕は、こうやってみんなで楽しく食べるご飯、なら、なんだって、おいしい」
「…市原っ」
「え?」
天野くんが思いっきり抱きついてきた。
どきどきする。握っていたスプーンが震えている。
は、恥ずかしい。
なんでだろうか、なんでこんなにも、嬉しくて幸せなのに、不安になるんだろう。
「天野!」
「「え?」」
遠くから走ってくる声に振り向くうと、真城くんがいた。
「市原から、手を放せ〜」
「嫌だよ、真城」
「……っ」
さっきよりも深く抱きしめられて僕は赤面したに違いない。
本当に、本当に、何なのかな、この感情は。
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