「ほら、ほら、お前ら、暗いぞ?」

植木先生が机をばしばしと叩いた。


「てか、さっきから、先生だけをのけものにするなよ…寂しいだろ?」


「「「あー…」」」

「何、なんか、今、忘れてた〜みたいな反応は!」

「え、だって」
「ごめんさない」
「植木先生が世界に溶けてたから」

僕たちは顔を合わせて笑った。

さっきまでのぎこちない空気は何処かに行った。


よかったんだと、思う。
これでよかったんだと、思った。


「ちょー、乃木、乃木、こっちにこい!」

遠くで天野くんの声がした。
乃木くんはしかたないなと言いながら、席を立つ。


「みんな、俺、ピラフとカレーをたくさん持ってくるから」

残さずに食べてくれよと、言い残して、乃木くんは天野くんの声がした方へと走っていった。


「俺、この先が読める…」

羽場くんは笑った。

「僕も、わかる気がする」

「先生も、わかるかもしれない」

そうきっと、あの二人は自分の好きなものを、ここに持ってきて、言うだろうな。


「「どっちがおいしいか、みんなに聞きたいんだ!」」

ぜひ審査してくれ。
そう言って机の上には人数分のカレーとピラフが運ばれてきた。






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