だったらスパイ活動を頼みたい
「羽場、それってさ、今も校長の下にいるってことだよな」
つまり、校長の言う通りに過ごしているということは、少なからず校長と接点があるってことだ。
「そうだけど」
それがどうしたんだよ、それが嫌でどうにかしたいって相談だろ! と羽場は拗ねた口をきく。
「だったらスパイ活動を頼みたい」
「え?」
「だから、羽場、利用するんだ、こっちだって」
「どういうこと?」
羽場は首を傾げて意味がわからないと言った。
……なんていう、純粋な子なんだろう。
ごめん、今から、汚い話を俺はするよ…
許してくれ、神さま。
「いいか、羽場。羽場は校長に弱みを握られている。だったら、こっちだって、握りかえして、同等の立場になるんだ。そしたら、天野への嫌がらせから卒業できるってこと」
「うっそ、そんな、俺、そんなことにも気がつかなかった。植木先生って頭いいんだなー」
「え?」
「尊敬する」
きらきらと羽場は俺を見つめた。
本当に言葉通りに尊敬してくれているかのようなほほ笑みで。
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