「まあ、それはいったん置いておいて。その事件があってどうしたんだよ」

「俺はそれで、校長の、機嫌を損ねたっていうのか、な。それで、天野の邪魔とか監視を言い渡されていてやっていて、でも、俺は、天野と本当に友達になれたような気がして…だから、植木先生に相談なんだけど、どうしたら、いいと思う?」

「なんで俺に聞くんだよ、乃木は?」

「…植木先生しか頼れないんだ」


「え?」


「だって、乃木は、気にすんなって一言口にするに決まっているし、天野は言ったところで気にすんなって言うだろうし、市原はこれ以上こんな話をしたら絶対に罪悪感を感じてしまうだろうし…植木先生なら、と」

迷惑だった…と遠慮がちに見上げられたら、俺は弱かった。

「わかった相談に乗ろうじゃないか!」

「ありがとうございます」

「今さら、敬語つかうのか?」

「……やめとく。なんとなく、天野をまねてみたけど、俺がやると気持ちわるいな」

いや、ちょっと可愛かったぞ。
恥じらっていたのが特によかったと思う。

「じゃあ、せっかくだから、可愛い子ちゃんやってよ」


敬語いいぞって俺は褒めたら、


「先生見逃して」

と、羽場は笑った。


……あれ、羽場ってこんなにも可愛かったっけ?

「わかったよ、羽場は羽場のままでいいから」

ほら、話合いをはじめるぞ…と俺は席についた。

少し不満はあるけどいいか。

続いて羽場も席についた。


俺はこの時少しばかりことを軽く見ていた。
これは、後になって後悔することになるんだが。






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