先生見逃して




お昼休み、俺は相談室に植木先生を呼び出して、事情を話した。


「昨日、保健室で校長に会って、それで諦めたのか?」


植木先生は驚いたように言った。
俺は「諦めたわけじゃないです、認めたんです」と言う。

「校長は言いましたよ。くだらないことをするなって。俺はね、カツラ写真を撮って脅して、帰宅部の承認を得たりもしたんですが…」

俺は市原と校長とのやりとりを話した。
植木先生は難しい顔をして、床を睨んだ。

「校長の分際で…」

「え?」

俺はぼそっと聞こえた植木先生の言葉に首を傾けた。

今、聞いてはいけない言葉が聞こえたような気がしてならない。

「だから、校長の分際で、よくまぁそんなことをするよなって言ったんだ」

「…植木先生」

「天野、協力しろ! やられたら、やりかえすが、俺らのポリシーだ!」


椅子から立ち上がると、植木先生は高らかにそう言った。


「もちろんです。親方!」

俺も勢いよく植木先生に賛同した。


いくら市原のお父さんだからってしていいことと、ダメなことがある。

そして、俺たちの怒りにふれたあんたが悪い。

こんなことをしても何も変わらないかもしれない。


それでも俺と植木先生はやるって決めた。
たとえマイナスでもいい。


俺は、結局、我がままだった。

ごめんね、市原。
そして乃木に羽場。
いちお、真城。






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