2
すると、羽場は市原のとなりですやすやと眠っている。
ほほえましい光景だった。
市原も羽場も、細っこいし儚い感じがするから、二人が寄り添っているとまるで…
「猫みたい」
「俺も、そう思ったよ、乃木」
乃木と二人して笑うと、俺も横になった。
俺の部屋がこんなにも狭いと感じたのは、はじめてだった。
「乃木も、転がらないか?」
「ああ、俺は、今日はバイトだから、この辺で帰る」
本当にいろいろとありがとうと言い残して乃木は帰った。
そこで、もしかしたら、と、いう可能性に気がついた。
「おい、羽場、お前はバイトないのか?」
大丈夫なのか?
何度も何度も呼びかけた。
すると目を覚ましてすぐに羽場は叫び声をあげた。
「忘れてたー!」
今からバイトに行くよって、言い残し羽場もそくさか俺の部屋を後にした。
最後にありがとうと羽場も言ってくれた。
俺は嬉しくて温かい気持ちで、市原を見つめた。
たとえ、意識をなくしていても可愛らしい市原。
俺はそんな市原の近くに行くと、そのまま、そこで眠りについた。
まだ寝不足で辛かったんだ。
本当は。
それに、市原の目が覚めた時、一番近くに俺がいたいと思った。
だから……
[*前] | [次#]
目次に戻る→