俺の部屋につくと、市原を俺のベットに寝かした。

喧嘩の常連さんは、ただ痛みで意識が飛んだだけだと、学校を出た時に言っていたから。

そっとしておいたら、意識を戻すって。


「あ、羽場、市原頼んでもいい? しばらく」

「ああ、いいけど?」

ちょっと目を赤くしている羽場は、俺を見上げると不思議そうな顔をした。


「乃木、ちょっといいかな?」

「え、ああ」

俺は乃木だけを引っ張り、部屋を出てリビングに向かった。

羽場は少し一人にしてあげた方がいいと思った。


それに乃木と話したいことがあった。


リビングにつくと、俺は乃木を真っ向から見つめた。


「乃木、正直に答えてほしい。保健室の会話、どこから、聞いていたのか?」

「え、どこからだっけ?」

「あ、深い意味はないんだ。覚えてないならいいよ」


記憶に残らないところから聞いていたんならいい。

よかった…


「乃木、俺ね、帰宅部は作るの、やめるよ」

「どうして?」

「馬鹿ばかしいって思ったから」






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「見えない臓器の名前は」
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