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=羽場side=
俺が天野にしたこと。
天野の友人を取ること。
天野の大切なものを取ること。
俺は、校長がしろっていうからしたよ…
入学早々、退学なんて嫌だったんだ。
俺には弟が妹がいる。
愛すべき、家族だ。
胸を張って、家に帰りたいんだ。
中学校のように、堕落したくなかった。
だけど、俺は本当に弟や妹、家族に胸を張って笑えていただろうか。
乃木に対しても、今は天野や市原に対しても、俺は俺は胸を張って笑えているだろうか。
天野が遠まわしに、今までのことは全部許しているからって言われて、俺は…
「市原…俺どうしたらいいんだろう…」
許してくれた天野に会わせる顔がない、そんな気がする。
強がって虚勢を張ってなんでもないふりをして、でも…
嘘をつくのは辛いんだ…
本当は嫌なんだ…。
『だからやるんだよ。叶えたいから頑張るんだよ。それ以外に何があるっていうんだよ!』
なんで、こんな時に天野の奇行を働く時の言葉なんて思い出すんだ…
また泣けてきたじゃないか。
「羽場くん、何もできなかった…ごめんね」
「え?」
市原の声がして、俺はびっくりした。
でも市原は意識を取り戻してはいない。
「どうして…」
そんなになっても俺のことなんて心配してんだよ、市原。
「もう、大丈夫だよ、俺も、市原も」
きっと、もう、俺たちは大丈夫だよ。
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