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五年生の時でした。
無償の愛というものをくれた同級生がいました。
僕は戸惑いました。
そんなもの知らなかったのです。
不思議でした。
見返りを求まないのに、どうして僕に優しくするんでしょう。
毎日考えました。
だんだんと彼の笑顔が頭から離れなくなりました。
みんなからは変人だとか言われていたんですが、僕はそう思いませんでした。
世界中が彼のように優しい人間だけになったらどんなにいいかと考えました。
馬鹿みたいですね。

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中学校へは父の言う通りのところに通いました。
その頃には、もう疑問だらけでした。
自分のプラスになるから友達になる。
自分のマイナスになるから縁を切る。
どうしてそんなことをするんでしょうか。
僕は小学校の時の彼のように、生きたい。
僕は、彼に暖かいものをもらいました。
だから、今度は僕が…

はじめは反感もありました。
でも、だんだんと受け入れてもらえるようになりました。
僕はみんなが大好きでした。
プラスとかマイナスとか考えずにみんなと関わりを持ちました。
笑顔を向けたら笑顔がかえってくる。
そんな幸せを僕は、はじめて手に入れました。
彼に感謝です。
顔も名前もよく覚えてもいないのですが、彼がいなかったら、僕はいつまでもあの日のままだったのかもしれません。

でも、父は怒りました。
何をしているんだと。
そんな馬鹿な真似はやめなさいと。
しかし、僕はやめませんでした。
どれだけ父と口論になっても、譲れないものがあったんです。






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