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「結果は大惨事になった。むこうの学校からも怒られたよ、俺が。この俺が怒られたんだよ。俺は悪くないのにさ。そんなのおかしいだろ。なのに、そんなことをした奴は俺が笑って許せって言うのかよ、そんなの俺の気がすまないね。だいたいさ、余計なことする方が悪いんだ。猫も助けられなかったんだろ。結局は何してたんだよって話しだ」
「黙れ!」
「そういった正義感とかいらないんだよ、正直それで誰かを傷つけたりしたら、一緒だろう。猫は殴っちゃだめだけど、人は殴ってもいいのか。矛盾してんだよ。その話。もっとさ、客観的になれよって話だろ。もう高校生なんだぜ。何がよくて悪いかじゃない。何が自分にとってプラスかマイナスかで考えるんだ。羽場は自らマイナスを背負うことにしたんだろ。だったらいいじゃん、いつまでもマイナス人生歩めばさ。この俺を、あんな面倒な目にあわせたんだぜ。俺は何もしてないのに、さ。急に、さ」
「黙れっていってんだ!」
「大変だったよ、話を全てもみ消すの。どれだけ大変だったと思っているんだよ。誰のおかげでこの学校の名前が、地位が守られているって言うんだよ…! 進学も、就職も有利な学校のままじゃないか! 何が俺、悪いんだよ。俺はちゃんとしただろ。な、羽場!」
「もう、いい!」
市原は校長に殴りかかった。
「幹也くん、何、暴力はいけないんだよ?」
にこやかに笑うと校長は市原の腹を思いっきり殴った。
「…ぅ」
「市原!」
腹を抱えてうずくまる市原に、天野が駆けよる。
俺と乃木は、校長に殴りかかった。
頭が何もついていけない状況だったけど、
市原を殴ったこいつが憎いと思った。
本当に許せなかった。
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