いえ、そんな…
「…きちゃった……」
僕は一度家に帰ったのに、保健室に来た。
だって、あの時、乃木くんがベットのところで心配そうな顔をしていたんだ。
何かできるってわけじゃないけど、一人でいるよりも、二人いた方がちょっとは心強いんじゃないんだろうかとかそんなことを思ったからだ。
まあ、もう、帰っているんじゃないかなって思うけど。
「え?」
扉を開けると、そこには、天野くんと乃木くん、羽場くん、そして、お父さんがいた。
「どうして、みんなして?」
「市原、聞いてくれぇ!」
「え、天野くん?」
椅子から立ち上がってこっちに走ってくる天野くんはとてもうれしそうで、僕もなんだか、嬉しくなった。
「見てくれよ、このサインとこの契約書!」
「わぁよかったね」
「な、やったんだよ。俺。あ、そうそう、さっきいろいろと話していたんだけど、市原のお父さんはともていい人だね!」
……いい人?
お父さんが…?
「幹也、久しぶりだね?」
何を、普通に話しかけてくんの、この人。
自分が何をしていたのか、わかってないわけ。
羽場くんのこともそうだ。
何がしたいんだ。
「黙れ、くそジジィ!」
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