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=市原side=
羽場くんの悩みを聞いた。
僕には何もできなかったけど、僕はそっと羽場君を支えられたらいいと思った。
格好悪いだろって羽場くんは終始言っていたけど、僕はそうは思わない。
羽場くんは悪くない。
悪いのは、ちゃんと話を聞かないお父さんだ。
今日の夜、言ってやる。
羽場くんは悪くないって。
『だって、公園で捨て猫に暴力振るっていたんだ。許せないだろ。弱り切っている猫だよ。雨に打たれて、濡れて、震えている猫にだ、あいつら、火をつけようとしたんだ。俺はとっさにそん時、つい、火を持っていた奴を殴っちゃってさ、相手が病院に送られた。俺はそんなつもりはなかったんだが、バランス崩して、こけて、アスファルトの上に頭を打ってさ、そいつ』
『あ、猫は…残りの奴らに、殺されたよ…。俺は残りの奴らにカッとして、ぼこぼこにした。一人で、全員、しばらく、外に出られないような顔にしてやった。でもさ、そんなことに何の意味があったのかって最近考える…答えなんてわからないし、辛いんだけどさ。あの猫はさ、もしかしたら、火をつけられた方がまだ、痛くなかったかな…とか。俺が余計なことしたから、余計な痛みを知って、死んだから…』
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