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「あれ、羽場くんじゃないか」
校長はへぇと言いながら俺の方を向いた。
正直、俺はあんたが苦手なんだよ…
「そうですね、俺、羽場でしたね」
「天野くんと仲良くなれたんだね、よかったよ…な?」
「そりゃ、嬉しいなぁあはは」
俺は棒読みになっているのが、わかっていても、言葉を紡ぐ。
ここで黙ったらいけない。
「本当か、俺も羽場と仲良くなれて嬉しいよ! だって、羽場はいつも俺のこと邪魔してきたから、俺のことが嫌いなのかなって思っていたんだけど、そんなの俺の勘違いだったんだよな!」
お人よしは、何も知らないくせに、楽しそうに俺を見つめる。
俺の中で、何かが壊れそう…
実は、俺ね、
校長に頼まれていたんだよ。
天野の邪魔、
全てしろって。
意味もわからないけど。
それで、退学はなしにしてくれるって言っていたから。
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